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『食』を通じて熊本復興に臨む~RESTART KUMAMOTOの挑戦(前)

2017年4月10日15:47

RESTART KUMAMOTO

 熊本地震からまもなく1年。さまざまな復興イベントやボランティア団体が活躍するなか、熊本の“食”を通じて中小企業の復興復帰を目指すプロジェクト“RESTART KUMAMOTO”も奮闘している。同プロジェクトでは、熊本の中小食品企業同士が個人ではなくチームとして活動を行い、熊本復興のために何をするべきか何ができるのか、どのような課題があるのかなどを皆で共有して活動するプロジェクトである。――同プロジェクトのプロデューサーであり、流通コンサルティング業「ITOU企画」の代表である伊東正寿氏にお話しを伺った。

【聞き手:中尾 眞幸】

“食”という観点での復興支援活動

 

――RESTART KUMAMOTOはどのようにして発足したのでしょうか。

伊東 正寿プロデューサー(以下、伊東) 4.14、4.16熊本地震の後のGW明けごろに、主に私のセミナーの受講生でもあるメーカーさんや事業者さんといった仲間たちで集まり、それぞれの無事を祝いました。その際に出たのが、「みんなで一刻も早く町を元気にしていきたい」という話でした。また、「自分たちの町だけでなく益城や南阿蘇など、一番被害が大きかった地域を支援したい」という話になりました。この集まりから2カ月程度で立ち上げたのが、“RESTART KUMAMOTO”です。我々は食品製造業等を営む業者の集まりですので、熊本の食材を他県に発信することで、中長期的に熊本の食を通じて中小企業を応援する活動を行っています。立ち上げ当時は“RESTART KUMAMOTO”という言葉も、どんなグループで、何をしていくかという計画もなく、まったくのゼロからのスタートでした。法人ではなく、あくまでボランティアグループですので、活動費用は自己資金、メンバーそれぞれが本業も多忙ななかで活動しています。非常にハードですが、それでも活動し続けているのは、あれほど大きな震災に遭ったなかで、「生きていた」、「命を救われた」ということ。そして救われた命を「傷ついた熊本のために、何か少しでも役立てたい」という、それだけの思いによって動かされているからです。

20170410_014当プロジェクトのロゴには、RESTARTの「R」と、KUMAMOTOの「K」が合わさったかたちを取っており、9本の線が入っています。この9本の線には4つの意味がありまして、まずは九州の「9」。熊本復興なくして九州の復興はない、九州は1つという意味をこめています。次に9名で始めたプロジェクトであり、9名から無数の光へと広げること。3つ目は、震災の復興復帰には最低でも9~10年はかかりますので、「時間が経っても震災を風化させず、まずは9年間、2025年まで活動していこう」という思い。最後に具体的政策提案である9本の光の矢を放っていくという意味です。

 

――ゼロの状態で始められて、まずどのような事業から取りかかられたのでしょうか。

20170410_015伊東 スタートアッププロモーションとして、昨年の7月6日、7日の2日間の日程で、福岡のマリンメッセで開催された食品展示会「九州FOOD LIFE 2016」に出展致しました。熊本の中小企業約30社とともにブースを構え、700名程度のバイヤーや商社など小売業関係者の方々に、熊本の食材のアピールを行いました。食材だけでなく、「クッキングサポート」と銘打った熊本の食材を活かした調理法の提案コーナーの設置や、被災地の現状、“RESTART KUMAMOTO”の今後の取り組みなどのご紹介もいたしました。少しでも、熊本と九州各県のバイヤーや商社が交流を持つきっかけを作りたいという思いでした。熊本の商品が全国のスーパーマーケットや百貨店に置かれ、日常的に食卓に上がるようになれば、一時的ではなく、中長期的な復興支援が可能になります。そういうかたちを作り上げていきたいのです。ありがたいことに、このプロモーションは強い反響をいただき、その後の活動への繋がりを築くことができました。

 

――9年後の達成目標や、完全復興を果たしたと言える指標は何でしょうか。

伊東 明確なゴールがあるわけではありません。成長に限りなどありませんし、9年で終わりとなるわけではなく、その後も持続させる必要がある事業もあるでしょうし、その都度新たな課題も出てくるでしょう。

目に見えるかたちとして、支援している皆さんの事業の成功、雇用の増加などはもちろん目指すべきものです。しかし単純に売り上げが上がるだけでは不十分で、根本的なところを変えていかなければ真の復興にはたどり着けないと考えています。熊本の事業者たちが前を向いて進んでいけること。「心の成功」といいますか、プロジェクトが終了しても自分たちの力で精力的に活動していけるようなモチベーションの土台作りを目指していきたいと考えています。

(つづく)

【文・構成:中尾 眞幸】

<プロフィール>


伊東 正寿(いとう・まさとし)

20170410_0131967年3月、大分県生まれ。熊本県在住。(株)寿屋に約10年間勤め、デイリー・グロサリー担当、本社企画担当などを経験。その後(株)ハローデイに入社、商品部にてバイヤーリーダーを務める。2010年10月、ITOU企画を設立。培った経験を活かし、九州の食品流通コンサルタントとして九州内のバイヤーや商社に企画提案などを行う。また、バイヤー、商社向けのオリジナルセミナーなども複数開催する。

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