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流通業界の行く末――流通記者対談(後)

2016年8月5日07:02

流通コンサルタント 神戸 彲  氏
流通ライター    宗像 三郎 氏

 全国各地で流通企業、スーパーマーケット企業の淘汰、再編が進行している。九州で先日起こった熊本地震が、再編を加速させる方向に影響することも予想される。勢力図は今後、どのような形になっていくのか。寿屋出店で(株)ハイマートの代表取締役社長を務めるなど、スーパー業界に長年携わってきた神戸彲氏と九州流通業界に精通するライター・宗像三郎氏の対談を開いた。

 ――アークスは売上1兆円構想を掲げています。今後は1兆円規模のスーパーでなければ残っていけない?

 神戸 大事なのは規模でなく中身だ。地元に密着しているかどうかだけではなく、フォーマットも重要。たとえばコスモス薬品は損益分岐点が低い店をたくさん作る。損益分岐点が5億円ならば5億円以上売れる場所に店を作ればいい。運営するのに専門技術はいらない。

 ――通販やネットスーパーに取り組んでいる小売企業も増えました。

supermarket2 宗像 若い人は特に通販を利用し、またそれに慣れている。食品をネットで買うことが当たり前の時代は、我々の想像を超えているが来るでしょう。

 神戸 食品はネットスーパーに向いていない。しかし、向いていないからなくなるかというとわからない。ただ生鮮の宅配は厳しい上に、とくに日本は食品の鮮度に対して厳しい。採算性があるとすればコンビニだろうか。普段スーパーに来ない客層を取り込むのはあるだろう。オーバーストアだと、生き残るのには様々な付加価値をつけることが必要だが、それでもネットスーパーはコストがかかる。

 ――結局は行きたくなる店を作る、ということですね。福岡では新宮町にカインズができました。これまでにない体験型のホームセンターで注目を集めています。

 宗像 長い目で見たら、食品スーパーも実はすごく進化してきた。たとえば焼きたてパン、これは20年前のスーパーにはなかった。

 神戸 今は当たり前になっていますね。冷凍生地を仕入れてレンジで解凍するのは簡単で、設備投資も抑えられるが、冷凍生地だということはお客にばれ、結果売上も落ちる。粉から練り上げるパンならい時間が経ってもおいしく食べられる。利益という面では厳しいが、そうしなければクオリティの高いスーパーにならない。

 ――顧客の声を拾う、ということですか。

 神戸 お客の声というのは、こういうふうに考えてください。たとえばスマートフォンがある。でも、それはお客が作ってくれって言ったものではないですよね?「こんな店作ってくれ」と客は言わない。お客はなんの意見も持っていない。結果に対しての評価はする。スーパーは何もしなければオーバーストアだから適正数値まで減っていく。あとは、市場とのマッチングですよ。

 宗像 先ほども話にでましたが、日本は藩の時代の食文化がいまだ残っている。たとえば同じ福岡県でも福岡市と北九州市では違う。西鉄ストアがスピナを買収した際、店名は残したが仕入先を変えると売上が落ちた。
 地域性は食文化に色濃く残っている。全国制覇は難しいが、結局は地域に根を張るスーパーが生き残っていくだろう。

(つづく)
【吉井 陸人】

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<プロフィール>
101104_kanbe神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ。宮崎県出身。74年に寿屋入社。えじまやの社長、ハローの専務を経て2003年にハローデイに入社。取締役、常務を経て10年に(株)ハイマート(現・(株)フードウェイ)の顧問に就任。同年に同社の代表取締役に就任し、翌年健康上の理由で退任。

<プロフィール>
宗像 三郎(むなかた・さぶろう)
1950年生まれ。福岡県出身。気鋭の流通ライターとして、九州流通業界の原稿を中心に執筆。

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