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流通業界、市場変化の臨界点(24)

2015年8月24日17:20

お客との価値観の違いをどう埋めるか

顧客からすれば、「額に汗して稼いだお金を持って、わざわざあなたの店に来たのだから、最高のサービスを」ということになる。
一方、従業員からすれば、不特定多数のいろいろな要望を持った顧客にうまく対応しなければならないという困難にさらされる。限られた時間のなかで商品の製造や陳列に追われながら、数多い顧客要望にうまく応えるのは容易ではない。そこに、顧客と従業員との大きなギャップが生まれる。

従業員から見れば些細なことでも、顧客にとっては見過ごせないことになる場合も少なくない。この問題を解決するには、徹底顧客主義を店舗組織全体に浸透させるしかない。なぜなら、今、その時間に店を訪れているお客は、世界中の店からただ1店、その店を選んでいるという事実があるからである。当然、お客に対して世界一のサービスを提供しなければならないことになる。たとえそれができなくても、少なくともそう思うべきである。しかし、なかなかそこまで思いが至らない。
結果としてクレームが発生し、そのクレームがさらなるクレームを生むという、店にとって、はなはだ不都合な結果を招くのである。この場合も、店が大きくなるほどそのリスクが大きくなる。

商品部と店舗現場にとっても、同じことが言える。一般的に商品部には、仕入れた商品の販売責任はない。店舗に入荷した以上、販売責任は店舗にあるということである。しかしそれでは、店舗側に被害者意識だけが残る。そしてそれは、顧客に対するサービスにも大きく影響する。売れない品はお客だけでなく、従業員にとっても迷惑このうえない。正常な価格で消化できない商品は、その価格を変更しなくてはならない。価格が変わるということは、店舗の信用が揺らぐということである。

たとえば、「半額販売」ということを考えてみよう。モノの値段が半分になるということは、お客にとって財布のなかのお金の価値が2倍になるということでもある。一度その経験をすると、同じ商品をまともな価格で買うことがバカバカしくなる。
それだけではない。お客には原価を切ってまで売るという発想はないから、半額にしても「まだ儲かるのか」と思ってしまう。
つまり売れない商品は、二重、三重に店舗不信を増幅するのである。とくに製造コストが高く、商品販売サイクルが短い生鮮系の価格変更は、致命的である。しかし、一定以上のお客が来ないと、値下げという価格変更が続出する。やがて売場からは鮮度感が失われ、お客の足はますます遠のくことになる。

これらを解決するには、経営幹部の決意が要る。それなくして、現場の改善と改革は実現しない。

(つづく)
【神戸 彲】

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