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流通業界、市場変化の臨界点(22)

2015年8月20日09:16

業際崩壊はあらゆるシーンで起きる

 日本の総人口は、2010年をピーク(労働人口は1998年がピーク)に減少を始めた。このことは、一般消費市場の縮小ということにもつながる大きな問題をはらんでいる。
 加えて、その高齢化傾向も消費市場に暗い影響を与えつつある。高齢化の進行は言うまでもなく、絶対消費量の縮小であり、極めて急速な高齢化が進行する我が国においては、その影響は深刻である。

 高齢者は医療支出の増加や年金収入への不安(さらなる老後への不安)から、消費支出にさらに慎重になると考えるのが妥当である。その一方、経済的に余裕のある高齢者は、従来の価格、品質での商品提供とは違ったやり方を求めるはずである。
 このような環境事情を考えると、業態別で棲み分けができていた小売業の業態テリトリーは、完全に崩壊すると見た方がいい。

変わり続けられるか

 新規組の特徴は、「飽くなき新たな試み」である。たとえば、あのアマゾンは「アマゾンフレッシュ」という生鮮食品宅配の実験をすでに開始している。また、「ダークストア」と言われる売り場(ピッキング場)は、スーパーに酷似しているものの、窓もお客もいない。こうしたオンライン専門のピッキング倉庫を持った企業も現れている。

 小売先進国と言われる米国でも、明らかな変化が起こっている。現在、全体の5%前後と言われるオンライ食品販売だが、この先5年で、それが倍増するという予測がある(日本でも全食品関連のそれは1.8兆円超)。それを見越して、大手小売業の戦略も大きく変化してきている。それはスーパーマーケットに限らず、ドラッグストアやホームセンターをも巻き込んでの大きな戦略転換である。

 日本同様、アメリカも過剰な出店による「立地の崩壊」が進んでいる。そこにはリアル店舗の飽和だけでなく、オンラインストアの拡大による影響がある。この影響を受けているのは中小規模の企業だけではない。ウォルマートやホームデポといった巨大小売業も、立地崩壊をカバーする何らかの手段を講じなければならないところまで追い込まれているのである。先般、家電販売全米2位のRadio shackが破綻したのも、オンラインストアの影響と言われている。

 そしてこれは何も、海の向こうの話ではない。業態だけでなく、国の壁も今やないも同然ということを、現実として認識しなくてはならない。西友もアマゾンもコストコも、海の向こうの会社である。そして彼らは、この国の小売業とシェア争いを繰り広げている。

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 上の写真(右は我が国ネットスーパーの売上)は、ダークストアと言われるネット専用の店舗のような倉庫(英GuardianSI紙より)である。ネットで受けた注文を、防寒着の従業員が顧客に代わってピッキングしている。もちろん、このような店を一般の人が見る機会はない。

 今は少数派かもしれないが、今後の社会、ライフスタイルのさらなる変化を考えると、それが既存の店舗に取って代わる日が来ないとは言い切れないのである。
 写真のような取組をしている英国の大手スーパーテスコでは、ネット経由の食品売上が2,000億円を超えるところまで成長してきている。しかし、これら新たな挑戦に取り組むそのテスコにしても、経営環境は厳しい。

(つづく)
【神戸 彲】

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