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流通業界、市場変化の臨界点(21)

2015年8月19日09:35

PBは大手小売業の救世主になれるか

 日本最古の食品PB(プライベート・ブランド)は、米国のそれに遅れること約50年、1960年にダイエーが発売した缶詰「ダイエーみかん」だ。その後、半世紀にわたり、多くの企業がそのブランド構築に取り組んできた。しかし、一部の例外を除いて、そのほとんどが成功とはほど遠い結果を経て、現在に至っている。

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 上の表は、大手小売業と大手メーカーのカップ麺の経費構造を比較したものである。もちろん、販売価格を安くするためのおおよその見当で試算したもので、正式なものではない。しかし、販売価格を安くするための条件は限られているから、試算が的外れではないことは確信している。

 販売価格を安くするには、原材料の価格を下げ、物流費や宣伝広告費、そして利益そのものを低く設定しなければならない。
 まず、原材料の価格であるが、原価率は商品の品質に大きく影響する。一般に原価率が高いほど品質も高まり、安定する。原価率を引き下げるということは、当然その逆の結果になる。
 消費者への認知徹底も同じである。広告は商品の認知とイメージに大きな影響を与え、それは販売量に直結する。

 シートのなかの経費項目を比較すれば、高い品質のPBをつくり、それを安価で販売することがよくわかる。当初の販売価格には大きな差があるが、NB(ナショナル・ブランド)には販促費という値下げ原資がある。さらに、その商品イメージは高く、とくにブランド志向の我が国では、多少高くてもNBという傾向が強い。
 逆にPBは、原価やイメージの部分だけでなく、知名度から来るなじみの問題も発生する。結局、総合力で見て、「PBはNBに勝てない」という構図に落ち着くのである。

 PBを成功させるには価格だけでなく、消費者が持つ企業への信頼度が大きく影響する。信頼度とは認知度であり、安心度でもある。消費者は企業に100点を求めてはいない。しかし、50点ではそのメガネにはかなわない。
 たとえばコンビニを考えてみる。最大手と2番手、3番手の差は、この点数差ではないだろうか。点数――いわゆる消費者の信頼が高い企業のPBは、同じように消費者の信頼も厚いということができる。さらにそれを価格でなく、品質でアピールすれば、その効果はますます大きくなるはずだ。

 商品の品質を高め、認知度を高めようとすれば、結局のところ安くは売れないという結論にたどり着く。今後は別として、これまでPBがうまくいかなかった理由はそこにある。

 一方、海外の場合は、少し事情が違う。コストコやウォルマートのPB構成比は低くない。彼らのPBである「Kirk Land」や「Great Value」はNB並みの認知度である。トレーダージョーやアルディーのように、90%前後がPBという企業もある。PBの歴史だけではなく、小売り上位の寡占度や問屋状況によってPBの立ち位置が明らかに違う結果であり、我が国とは一様に比較できない。しかし、従来の量と価格発想だけでは、PBは小売の救世主にはなり得ないと言っても過言ではない。

(つづく)
【神戸 彲】

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