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流通業界、市場変化の臨界点(20)

2015年8月17日14:30

 コストコの部門別の売上の構成(costco financialより)を確認してみよう。ロスの大きい生鮮やデリカの構成比は極めて小さい。頻度が低く、在庫金額も小さくない家電や服飾の構成比も低い。この構成比も長年変わらない。頑ななのである。これは、自分のポジションとその創造価値を、極めて冷静に判断しているということである。
 ちなみにコストコの従業員給与は、業界的に見れば極めて高い水準にある。

コストコの部門別の売上の構成

 コストコの数値で見逃してならないのは、経費の額が年々増えているのに、その比率がこの10年来、ほとんど変わっていないことである。これは、販売管理増を補って余りある既存店舗の売上の伸びがあるということに他ならない。その1店舗当たりの売上は年間16億ドル余り。この10年で、1店舗当たりの売上は1.6倍にもなっている。これはUSウォルマートの2倍以上、インターを入れれば4倍の1店舗売上になる。

 一方、ウォルマートの1店舗売上は毎年小さくなっていき、昨年度は42.4億ドルにまで縮小している。結果として、ウォルマートの経費率はかつての14%台から、ここ数年は19%台にまで上昇している。これは、販売管理費の上昇を売上の伸びでカバーできていないということであり、原価の引き下げで何とか経常利益率5%を確保しているものの、このままいくと、ディスカウンターとしての価格訴求に問題が出る可能性も考えられる。

 その一方で、ウォルマートは「セイビングキャッチャー」という競合店価格対応のシステムを構築し、自社のお客に地域最安値を保証している。スマホに事前登録しておくと、競合店価格が安かった場合、自動的にキャッシュバックをするというやり方である。
 もちろん、年間規定額があり、無制限にキャッシュバックをするということではないが、お客にとってはいちいち複数の店舗を回って価格を比較する手間が省けるだけでなく、価格的安心感を持つこともできるという、ダブルのメリットを提供してくれているということになる。
 少なからず利益率が低下するこのサービスの実行は、売上という小売りの原点を必死で固めようとする意図が透けて見える。もちろん、ウォルマートのことだから、その差額をメーカーに補填させることも考えてのことだろう。

(つづく)
【神戸 彲】

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