流通業界、市場変化の臨界点(16)
<業態際の崩壊>
業態崩壊のわかりやすい例を、コンビニのチルドコーヒーに見てみよう。上の図は、コーヒー販売のポジションを示したものである。
大手コンビニが予定している今年のチルドコーヒー販売量は、19億杯余り。国民1人が年間15杯飲むことになる。この影響を受けるのは、もちろん価格帯が重なる自動販売機である。
自販機の缶コーヒー販売額は年間8,000億円前後とされているが、コンビニコーヒーはその平均単価を120円として、販売額は年間約2,300億円。昨年度の3倍前後の数量になる19億杯という数値が実績として現実になると、自販機はその売上の4分の1を奪われることになる。
もともと自販機コーヒー販売者にとって、コンビニに設置している自販機は小さくない売上を占めていたはずである。その大部分がチルドコーヒーに取って代わられるということである。
もちろん、チルドコーヒーが新規コーヒー客の開拓につながるケースなどもあり、自販機がそっくりそのまま影響を受けるということではないかもしれない。だが、それらを考慮しても、その影響は小さくはない。なお、コンビニとは提供スタイル(TPOS)と価格帯が違うコーヒー専門店は、その影響をあまり受けることはない。
このコーヒーの例と同じように、スーパーマーケットもドラッグストアや宅配などの“侵入組”の影響を、避けることはできないのである。
(つづく)
【神戸 彲】
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