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流通業界、市場変化の臨界点(13)

2015年8月4日15:06

<業態の選択>

 業態とは商いの形式だが、端的に言えば「売価の違い」である。同じ商品でも、やり方によってお客に対しての提供価格が違うということである。しかしお客には、業態によって販売価格が違うということが理解できない。ときには小売業従事者にも、そんな人を見かけることがある。

 販売価格を決めるのは、言うまでもなく販売管理費である。販売管理費を割っての販売価格は、提供できない。企業はその存続のために、販売管理費を上回る粗利益率を確保しなければならない。言い換えれば、販売管理費率が高ければ高いほど、販売価格も高くなるということにある。もちろん仕入れ価格の問題もあるが、それは決定的な条件ではない。

 購入頻度の高い食品の購入動機の第1は「自宅から近い」ことであり、2番目が「価格が安い」ことである。一般的な調査では「鮮度と品質」が価格に優先するが、それも価格を勘案してのことであり、価格に関係なく鮮度と品質で店を選ぶというお客は、全体の10%に満たない。これは、洋の東西を問わず共通である。
 つまり、価格を二の次にして、品質と鮮度だけで勝負しようとすれば、消費者の10%しかその対象にならないということである。言い換えれば、品質重視の高質店は、ある条件下でしか成立しないということである。

<業態による販売管理費の差>

 シートは、業態による1年間の1坪当たりの販売管理費の違いを表したものである。これを見ると、品質型スーパーの坪当たり販売管理費がいかに高いかがよくわかる。
 坪当たり経費が高いということは、高い坪当たり売上が必要ということである。

kanrihi

 一方、ドラッグストアのそれは、高質型スーパーの3分の1以下に過ぎない。販売管理費の絶対額が少ないということは、売上の絶対額も少なくていいということである。言い換えれば、足もと商圏が薄いところにも出店できるということになる。さらに、販売期間が極端に短い生鮮4品がないから、ロスにも気を使う必要がない。スーパーがあまり得意でない、高頻度の消耗雑貨や医薬品、化粧品といった値入優位な部門もある。ある程度の来店客さえあれば、実に有利な業態であることがよくわかる。

(つづく)
【神戸 彲】

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<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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