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流通業界、市場変化の臨界点(11)

2015年7月31日14:57

<規模が大きくなると問題も大きくなる>

 シートは、我が国最大の小売業であるイオンの収益構造であるが、本業と言われる小売での利益貢献は極めて低い。もちろん、小売の存在なくして、収益性の良いショッピングセンターやクレジット事業の成功は考えられないが、とにかくいつの頃からか、小売部分の販売管理費率は、その粗利率を大きく上回るようになってしまったのである。しかも、その小売部門でさえ、店舗内に導入しているテナントからの不動産収入に頼っているのである。これは、不動産収入がなければ大手小売業は例外なく、その経営が成立しないところまで来ているということである。今や、大手小売りの商品販売部門に本業という言葉を当てるのは、適当でないと言った方がいいのかもしれない。

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<問題はその中身>

 資本の論理に基づく企業の連携は過去、多くの大事な教訓を残している。いかに規模のメリットがあるとはいえ、チームとしてのベクトルが理想通り形成できなかった場合は、その規模拡大は実りをもたらさない。時代や経営力といった条件が整っていたとしても、現場の士気や技術がうまく発揮できないと、規模のメリットは手にできないのである。

 高度成長時代が始まった昭和40年代初めに「大きいことはいいことだ」という流行語が生まれた。造船、製鉄、電気など産業は重厚長大、コンピュータもメインフレーム型のビッグサイズが覇を競った。しかし、いつの間にか重厚長大は軽薄短小に変わり、多くの「大きいもの」が姿を消していった。

 小売業の世界も同じように、そのかたちを大きく変え続けたと言ってもいい。大きくなれなかった店は姿を消し、あるいは姿を変えてコンビニになり、大きくなった店はさらに巨大化した。その巨大化の過程で、我々は多くのことを経験してきている。

 商業を「モノを売る戦争」と表現する人がいる。武器という道具を使うかお金という道具を使うかの違いがあるだけで、その本質は変わらないというのである。表現の良し悪しは別として、たしかに言葉のうえで我々は販売競争を「商戦」という。商戦の基礎は言うまでもなく、資本の論理に基づく競争である。そこには、より強いものがより栄えるという原理原則がある。しかし、ただ大きく強いだけでは、歴史の波を乗り越えることはできない。そこに環境適応という、資本の論理とはまた違った生存方法がある。

(つづく)
【神戸 彲】

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<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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