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流通業界、市場変化の臨界点(9)

2015年7月29日15:58

<地域のために生き残るには決断力も不可欠>

横山 清 会長 いつの時代どの業種にも共通することだが、リスクと手間を嫌がり、現状維持を続けていると、必ず大手に駆逐されるのが過去の教訓である。そうならないためには、リスクを恐れず思い切った自己改革を図るか、あるいは仲間同士で手を携え、その業界や地域で大手に負けない体質を完成させなければならない。

 地方には、歴史と文化に彩られた地方の人の営みがある。それを支えるのが地場商業者の仕事だと横山会長は言う。そうすることで暮らしや生き方の多様性が生まれ、より豊かな地域の営みが実現するというのだ。
 「八ヶ岳連峰経営」には、さらに大きな展望がある。アークスという大きな輪をさらに発展させるというのが、それだ。現在はグループ売上5,000億円弱。将来的にこれを2倍に持って行きたい。さらに、北部に加えて中部日本、西日本にも同じような連合体ができることが望ましいと考えている。その売上規模はそれぞれに1兆円。我が国内食市場の7~8%の占拠率になる。

 全国の業界を俯瞰すると、その傾向は全国で確実に芽生え始めている。社会(経営者も含む)の高齢化やオムニチャネルの進行、人口減少など、今後の市場事情を勘案すると小売業の再編はこれからさらに加速せざるを得ない。
 しかし、アグレッシブで若々しい、横山会長も78歳。これからのアークスを率いる後継を問うと、外部招聘でも内部昇格でも構わないという答えが返ってきた。組織内にも“第二の横山”が複数育ってきているとも言う。

<いかにやるかから、何をやるか>

 全国的に見ても隣接地域だけでなく、地域を越えた連携もある。原信ナルスとフレッセイがアクシアルグループで連携、さらにヤオコーとライフの商品連携などがそれだ。
 西日本地区ではイオンはもちろん、イズミや西鉄ストアなど、ナショナル、リージョナル、ローカルを問わずその動きが活発化している。

 「顧客の要望はすべて聞く」という方針を掲げるスーパーマーケット企業が、福岡にある。商品、設備など、顧客からの要望には真剣に耳を傾けるという姿勢である。この方針を実行すると、リスクとコストが発生する。しかし、実行による顧客満足がリスクとコストをクリアしてくれるというのが、この企業の基本姿勢である。いわゆる「非効率の効果」である。しかし、これを実行するにはトップの強いリーダーシップが要るし、その実現には極めて大きな努力と時間が要る。
 企業の連携も同じである。平均的な発想から、統合の実りを手にすることはできない。「1+1=2」にはならないのが普通である。むしろ2を割るケースが少なくない。
 統合を実のあるものにするには、経営の覚悟が不可欠になってくる。“弱者連合”や“お友達連合”で、今後の厳しい競争に勝ち残るのは不可能である。地域柄、個性の強い経営者が多いと言われる九州流通業界だが、地場企業のリーダーには、地域の暮らしと文化を守る気概と決意をもって新たなかたちに取り組んでほしいものである。実のある連携努力こそ、大手に対する有力な武器であることは、アークスの例が示している。

(つづく)
【神戸 彲】

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<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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