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流通業界、市場変化の臨界点(6)

2015年7月24日11:13

<縮小のなかの拡大>

 横山会長はよく「縮小のなかの拡大」という言葉を口にする。市場が縮小するなかでは強いものはその規模を拡大し、弱いものは淘汰されるということである。
 今、地方は人口減少と高齢化という市場縮小にさらされている。そのなかで、食品を持つドラッグストアやその売上の6割を食品で構成するコンビニエンスストア、加えて大手食品スーパー(SM)の出店は止まらない。どんな業態や企業でも、立地を創造(基準値以上の商圏拡大)することは容易ではない。出店が止まらないということは、小売業で最も重要な立地の崩壊が進んでいるということである。有利な場所に新店が出せない。加えて、既存店の売上が落ちていくという構造に晒されているのである。

<隣接効果と規模の効果>

sakana このような状況下では、単純に生鮮強化や人の効率化などという漠然とした方針を示して商圏拡大を図っても、問題解決にはならない。
 生鮮食品のための設備や運営コストが重くのしかかるスーパーマーケットは、ある程度の基本売上がないと販売管理費が賄えない。かくして力や特長のない企業は、市場から立ち去ることを余儀なくされる。

 小売業界では、よく「エリア戦略」という言葉が使われる。それはある一定の地域で、どう効率的に経営管理を行うかということである。流通業に限ったことではないが、効率に最も影響を与える条件の1つは時間である。
 モノを移動する場合の時間も、そのままコストにはね返る。作業場という狭く限られたなかでの地点移動も都市間の移動も、理屈は同じである。この移動の効率化は、企業にとって大きな意味を持つ。

 もう1つは、ボリュームである。こちらも効率に大きく影響する。コンビニやドラッグストアが集中的に地域出店するのは、この部分の効率を狙ってのことである。
 たとえば、北海道の北の稚内にあるA社と青森の南部にあるB社が合併してその売上が2倍になっても、物流的に考えればメリットはない。これはメーカーや卸にとっても同じである。つまり、単純な規模拡大連合による効果はないということである。それゆえ、連携にはそれなりの条件が発生する。

 アークス10社の場合、北海道と青森、秋田のエリア連合である。アークス主力3社のエリアシェアは、それぞれ25%前後を占めている。このボリュームと隣接による配送コストの低減こそが、大きな連携効果を生んでいるのである。

 飛び地の管理が困難を極めるのは、何も国家のことだけではない。小売業にも同じことが言えるのである。戦国大名が領地にたくさんの出城を築いて戦闘力強化を図ったのも、織田信長が方面軍制度で全体の連携と効率を図ったのも同じ理屈である。ここから横山会長の北、中、西のエリア別連携分離の発想は生まれたと言ってもいい。

(つづく)
【神戸 彲】

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<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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