流通NETIB

流通業界、市場変化の臨界点(5)

2015年7月23日13:40

<北の連合>

sora1 市場環境の変化により、全国的に統合、提携が進む我が国の小売業。その潮流のなかで今注目されているのが、「八ヶ岳連峰経営」を標ぼうし、強い地域基盤をつくることで大手に対抗しようというアークスグループである。

 そのキーパーソンが横山清社長だが、そのキャリアはユニークだ。同氏は炭鉱労働者として石炭産業に従事した後、一念発起して改めて大学に入り直した。さらに、その後入社した企業から子会社のスーパー事業に出向させられた挙句、入社企業が北海道事業から撤退して“残留孤児”になった、と横山社長は笑う。今から53年ほど前に、まったくの畑違いの企業からダイマル(現・(株)ラルズ)という地場スーパーに出向を命じられ、親会社の事情でそのままそこに居ついてしまうことになったという。

<一方的なトップダウンより相互啓発と地域主権>

 スーパー事業に携わって10年ほど経つと、ダイエーやイトーヨーカ堂など大手の進出が始まり、厳しい戦いを強いられることになった。

 強大な大手に対抗するためには、地場で手を組んでいくしかない。そこで横山社長が考えたのが、連帯と自主を兼ね備えた“連峰経営”だ。
 1995年から始まったという地場企業への資本参加は順調に進み、ある程度の規模になったところで「大雪山連峰経営」という言葉を使い始めた。大雪山とは、北海道のほぼ中部に連なる旭岳を中心とした山系である。自分たち北海道の商業者の連携を、北海道の真ん中にそびえる大雪山系に例えた発想だった。

 あるとき、新聞で当時のアサヒビール樋口社長の「八ヶ岳連峰経営」という言葉を目にした。通常のM&Aによる強権的な中央集権ではなく、より広い意味で、同じような規模や能力の会社が連なりながら協力、切磋琢磨して強くなる――。それはそれまで使っていた「大雪山連峰経営」という言葉より、さらに的を射た表現だった。
 樋口社長に頼み込んでその名前を譲り受け、それから「八ヶ岳連峰経営」という言葉を使うようになった。

<規模だけが目的ではない>

 横山会長の言うM&Aはマインド&アグリーメント、いわゆる心のつながりによる信頼と合意の協力経営である。そこには単なる経済メリットだけではなく、自主性の集積によるより豊かな技術、店づくり、情報活用など、多様な効果を狙う相互補完的な戦略がある。 同じビジョンと方向性を持ち、切磋琢磨して目的地に到達しようという連合体である。
 共同化は多方面で創造的価値生産を手にできない限り、それが有力な武器になることはない。単なる規模の集積ではメリットがないというのが、基本的な考え方だ。

(つづく)
【神戸 彲】

≪ (4) | (6) ≫

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

<流通メルマガのご案内>

 流通メルマガは沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームでお申し込み下さい。

※「流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>

NETIB流通 独自の切り口で流通業界の今を伝えるニュースサイト
 ※最新ニュースはコチラ⇒NETIB流通 トップページ


※記事へのご意見はこちら


― スポンサーリンク ―

トピックスの最新記事

一覧へ
  • MicroAdT用レクタングル