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流通業界、市場変化の臨界点(1)

2015年7月16日16:20

 我が国の年間家計支出平均は、1世帯当たり382万円。そのうちの22%の85万円程度が食費支出である。総世帯を約5.000万と仮定すると、内食の市場は42兆円。これに宿泊施設や給食などを除く外食の8兆円程度を加えて、食の小売市場は約50兆円。
 ただ問題は、それがここ20年以上、ほとんど成長していないことだ。国際的に見て、これは異常なことである。その背景には人口動態の問題だけでなく、供給過多(過剰店舗)による厳しい価格競争がある。そして、その淘汰・競争は今後の市場縮小もあいまって、今後、ますます厳しさを増す。

<利益が出なくなった従来型小売業>

kaimono_img 1985年当時の大手小売業10社のうち、現在も単独でその名前をとどめているのはセブン&アイ、イオンなど4社に過ぎない。しかも、そのすべての企業が、今や“本業”と言われる小売部門で利益を出せなくなってしまっている。
 その最大の理由は、消費に対しての提供面積の増大である。若年人口減少で消費の絶対量が伸びないなかで売場面積が増大すれば、当然、買い手市場となり、集客のための価格訴求が激しくなる。この30年来、多くの業界でデフレという販売価格の低迷が日常化し、その生産効率の低下にさらに拍車をかけている。

 新規店舗が生まれ続けるなかでのデフレとは、既存店舗の売上が低下するということである。もともと販売管理費のほとんどが固定費と言われるスーパーマーケットであるから、売上額が伸びないとなると、たちまち利益構造が悪化する。

 この状況の打開策として考えられる1つの手段が、M&Aという企業集約である。とくにこの四半世紀、イオンとセブン&アイは、その規模拡大に邁進(まいしん)。イオンは、多方面の業態を包含したM&Aの実行に加えて、今後の市場を考えて東南アジアにも積極的に進出している。

 ちなみに、小売業のベスト10企業のシェアは1、2位のイオンとセブン&アイを除いて、まったく拡大していない。この重苦しい消費市場の構造停滞こそ、我が国の従来型業態が抱え込んでいる大きな問題である。

(つづく)
【神戸 彲】

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<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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