流通NETIB

花の香酒造(株) 30代の杜氏社長の挑戦(後)~「701」を世界一の日本酒へ

2015年2月3日07:00

 熊本県北部に位置する和水(なごみ)町。九州自動車道「南関インター」近くの同町にある花の香酒造(株)では、30代の若き社長と若いスタッフが“世界一のお酒”をつくるために日々奮闘している。100年以上続く歴史ある酒蔵であるが、それまでの製造方法、販売ラベル、PR方法を含めて一新した。従来にはない新しい酒造メーカーとして、国内外から注目を集めている。

<iTQiで優秀味覚賞を獲得>

花の香酒造 神田清隆社長 「701」は清酒で、「702」は発泡清酒だ。デザインは、中身は和、外見は洋をコンセプトにつくられた。ラベルの帯は着物をスタイリッシュにイメージ。日本人の食生活が変化し、日本酒の消費量が減少している現状で、神田社長は和食のみならず洋食にも合う清酒づくりに取り組んだ。「このままじゃヘビーユーザーがいなくなり、市場の縮小に歯止めがかからない」という危機感が、このような取り組みへとつながった。
 商品は昨年11月に発売後、インターネットでの注文もさることながら、土産物の所望も増えてきた。「アルコール市場は全体的に縮小しているが、価格、味覚をお客さまのニーズに合わせることで、きっと支持を得ることができる」という信念を持った取り組みが功奏する。
 近年、スパークリングワインなど炭酸系のアルコール市場が賑わっていることから開発された「702」の発泡清酒は昨年、ベルギーのブリュッセルに本部を置く「iTQi」(国際味覚審査機構)のコンテストにおいて優秀味覚賞を受賞するなど、その味は世界的にも高い評価を受けている。
「701」と「702」の評価を受けて、新しい取り組みにかかった。それは自社商品のさらなる質の向上だった。

<旭酒造に弟子入り。一から酒造りを学び直す>

 通常、自社の商品が世界的にも一定の評価を受けたならば、技術の守りに入るものだが、神田社長は一から酒づくりを学び直すことを選択した。それは、とあるテレビにおいて、旭酒造の桜井博志社長の杜氏経験や勘に頼らないデータ重視の酒づくりに感銘を受けたことに始まる。テレビ放映の翌日に、旭酒造の桜井社長に弟子入りを直談判。昨年9月から11月までの2カ月間、修業させてもらった。さらに自社の製造スタッフ5名も、2週間の研修を受けた。一から酒づくりを学び直し、現在、さらなる質の高い酒造りに挑んでいるのだ。

 そして今年3月末、「新酒 花の香」を従来のラベルを一新し、質にとことんこだわった純米大吟醸酒として発売する。通常、純米大吟醸は一升瓶(1.8リットル)で4,000円前後で販売されるが、同社は3,000円前後で販売する予定だ。
 また、原料となる山田錦は、来年より自主生産することを決めた。現在、地元・和水町の米農家の方に対し、畑をレンタルさせてくれる方には1反あたり年間1万円の使用料を支払うほか、収穫した米でできる純米大吟醸1.8リットルをプレゼントする条件で協力要請を行っている。「現在、5町歩は確保しているが、最終的には10町分を目指したい」と神田社長は話す。

 若いスタッフ、原料の自主生産、新しい酒の発売、どれをとっても新鮮だ。通常、事業承継した場合、先代の意向や伝統などに縛られ、新しい発想はなかなか生まれてこないものだ。しかし、神田社長の場合は早くから実業家の道を進んでいたことから、ただの酒造メーカーの事業承継を受けた社長とはそこが違う。神田社長によれば、同社のような30代の杜氏社長が率いる酒蔵が、全国的にも増えてきたようだ。日本酒の市場は縮小傾向にあると言われているが、この酒蔵のような若くて元気な企業が増えてくれば、清酒業界の見通しはとても明るい。

酒づくりsakedukuri2

(了)
【矢野 寛之】

≪ (前) | 

<流通メルマガのご案内>

 流通メルマガは沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームでお申し込み下さい。

※「流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>

NETIB流通 独自の切り口で流通業界の今を伝えるニュースサイト
 ※最新ニュースはコチラ⇒NETIB流通 トップページ


※記事へのご意見はこちら


― スポンサーリンク ―

トピックスの最新記事

一覧へ
  • MicroAdT用レクタングル