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流通究極進化 「目的買いと衝動買い」(5)

2014年10月9日07:02

<ボーダレス(業態壁の崩壊)が始まった>

 アマゾンと言えば、ありとあらゆる商品がそろうことは誰でも知っていることだが、事と次第によっては、彼らが「既存の卸にとって代わる」ということも考えられないこともない。
 Eコマースは、“距離”と“価格”という消費者と販売者のバリアを、いとも簡単に破壊する。キーボードを叩けばあっという間に自宅まで、しかも送料無料で届くという便利さを経験し、それが習慣化するとリアル店舗に行かないという消費者は激増する。アマゾンの日本における売上は、すでに7,500億円程度にまで成長している。これは地場小売業にとっても、足元に火が付いているということである。

 別表は、家庭電化品のEコマース販売額である。年商3兆円を超えるベストバイやアップルストアも、インターネット通販ではアマゾンに遠くおよばない。さらにベスト10ランキングには、ウォルマートやコストコなど、家電専門店以外の小売店が顔を出している。

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大手家電販売企業も通販(Eコマース)売上ではアマゾンの足元にもおよばない

<もはやコンビニも外資も対岸の火事ではない>

 スーパーにとって、今、コンビニがかつてない脅威になりつつある。まず、コンビニとスーパーの利用年齢層に、差がなくなりつつあるということである。今やコンビニの利用者の60%は、40歳以上の年齢層で占められている。来店客年齢がスーパーと変わらなくなってきているのである。もはやコンビニは、若者の店ではない。

supermarket_yasai その背景には、高齢者がスーパー代わりにコンビニを利用し始めたという事情がある。一般家庭で核家族化と高齢化、単身化が進む現在、時代の主流になりつつあるのは「料理をつくらず、惣菜で済ます」というライフスタイルである。このような状況がさらに拡大し、さらにコンビニが生鮮食品や総菜の売り場を提供するということになると、どこから見てもほとんどの条件で、スーパーはコンビニより不利である。

 何より、コンビニ店は距離的に消費者に近い。消費者最大の店舗選択理由の「近い」を満たしているということである。さらに、消費者ニーズを先取りする商品開発にも優れている。この構図がこのまま進めば、何の変哲もない普通のスーパーには、間もなくお客が来なくなる。

 Eコマースも、従来型の店舗にとって大きな脅威を与える。通販とは、店に行かなくても自宅まで商品を届けてくれるシステムである。言うなれば「究極の近さ」ということになる。
 さらに、その品ぞろえは限りなく大きい。百貨店ならぬ、“百万貨店”と言ってもいい。自宅に居ながらにして、何でも送料無料で手に入るシステムは、売る側にしても全国が商圏というとんでもない優位性を持つ。さらにこのシステムは、消費者の購入価格比較を容易にする。リアルの店舗で価格を確かめ、ネットでそれを比較して実際の購入先を選択するという買い方は、今や普通になっている。問題は、この方法がいつ生鮮食品を含む食料品の分野に本格的に浸透するかである。そしてそれは、決して遠い将来のことではない。

<買い物に行きたくなる店をつくる>

 地場企業生き残り対策としては、「わざわざでも行きたい店」をつくり、高い坪当たりの売上を確保することである。楽しい店舗環境、商品、人のサービス。これらを磨き上げるしか、大手に勝つ方法はない。若いお客、家族連れ、目の肥えたリタイア夫婦などの幅広い客層を、価格も含めた新しい戦略で取り込む必要があるということである。経費削減的な受け身の改善と景気の自然回復を待つ姿勢の先には、お客の消えた店が残るだけである。

(了)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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