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流通究極進化 「目的買いと衝動買い」(4)

2014年10月8日07:01

<そして誰もいなくなった・・・>

 日本の10年先を行くと言われるアメリカの流通業は、この数十年、激しい淘汰競争にさらされてきた。それは我が国のそれとは比べ物にならない激しさで、かつてアメリカそのものと言われたシアーズや、日本から見学者が殺到した大手スーパーのアルバートソンズなどの巨大小売業の多くが、連邦破産法の適用やM&A(合併・買収)を受けたという事実がある。

 小売りの盛衰は同業だけでなく、かつてアメリカ最大の食品卸であったフレミング社でさえ倒産に追いやっている。新しいものに挑戦するリスクを顧みず、コストコやウォルマートなどが新業態に挑戦したのは、そのような過激な競争の結果でもある。

supermarket1 日本も、今やその域にさしかかっているということである。従来の店の形態をそのまま維持しようとすれば、間もなく、地方都市の地場スーパーはほぼ淘汰され、全国大手のスーパーしか残っていないという状況がやって来るかもしれない。
 もちろん、九州も例外ではない。たとえば1980年代後半の我が国大手量販店企業上位10社のうち、6社は事実上消滅している。しかも、企業名は入れ替わっているものの、大きく売上を伸ばしているイオン、セブン&アイ・ホールディングスを除く3位以下の企業の年間売上は、当時とほとんど変わっていない。その理由は、広い意味での陳腐化、いわゆる「時流とのかい離」である。だから大きく売上を伸ばしている上位2社も、商品の販売という「商いでの利益」はマイナスである。そしてスーパーマーケットにも、この傾向は顕著に表れている。

 販売以外の利益のための投資ができず、「商いの利益」にしか頼れないローカルスーパーが生き残るには、コストコのような非日常と日常をうまくミックスして、顧客に楽しさと感動を届けるしかない。
 そのキーワードは「他所とはレベルが違うサービス」ということである。価格も含めた徹底したサービスで他社に差を付ければ、必ず「わざわざのお客」がやって来る。現実にその手法を用いてスーパーの店舗当たり平均売上の2倍を売っている企業もある。そうすることで、結果的にサービスコストを大きく引き下げているのである。

 ローカル企業が生き残るには、お客が何としてもそこに行きたい感情に駆られる「わざわざの店」をつくるしかない。今やまさに、そのときに来ているのである。

<他人事ではない。さらに変化が急激に進む小売業>

 視点を変えて注目すべきは、アメリカの小売業に押し寄せるさらなる大きな変化である。その原因の1つは、Eコマースの急激な浸透である。
 たとえば、1994年に書籍のインターネット通販から始まったアマゾンは、今やあらゆる商品を世界中に販売するという流れをつくりつつあるだけでなく、アマゾンフレッシュという生鮮品の宅配システムを、6年間の実験を経て実行しようとしている。

 また、アメリカ最大のホームセンター企業であるホームデポはここ数年、新規出店を休止し、代わりにインターネット経由の売上を日本最大のホームセンターの年間売上に近い額まで増加させている。
 世界最大の小売業ウォルマートもM&Aにより、約4,000人余りのインターネット関連要員を獲得している。
 その最新販促法の最新のシステムが、セイビングキャッチャーという他店との価格差返金制度である。具体的な内容は省くが、同じ商品が他店より高い場合、スマートホンを利用して、その差額を商品券で返還する。日本の子会社・西友(サニー)が始めた「ど・生鮮」という商品不満足返金も、ウォルマート本部の戦略に基づいたものである。

 さらに、ネットで注文し、店で受け取るというストアピックアップや生鮮食品の宅配、小型店の出店など、オムニチャネルと言われる多岐にわたる販売形態実験も始めている。
 これは消費者の購買行動形態が変化したことに加えて、店舗の乱立により、適当な出店場所がほとんどなくなったことにある。

 我が国でもアマゾンやセブン-イレブンだけでなく、多くの有力企業が同じようなことを始めているが、このような状況が一般化すると、普通のスーパーの生き残る道は限りなく閉ざされる。

(つづく)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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