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流通究極進化 「目的買いと衝動買い」(1)

2014年10月1日11:23

 ここ数年、全国的に流通業のM&Aや提携が加速している。その中心にいるのは言うまでもなくイオンだが、ヤオコー、ライフ、アークス、イズミなど、複数の地域チェーンもさまざまなかたちの提携や連携を深めている。ここ九州でも、同じような現象が少なくない。

 その大きな理由は、少子、高齢化により市場の伸びが停滞するなかで、店舗面積だけが増え続けた結果、単位面積当たりの売上が縮小、収益性に大きな問題が発生したことにある。
 業態の出発当時から販売量を優先し、できる限りの低価格をその戦略の中心に据えてきたチェーン小売業は、その規模に関わらず、経常利益率は2%を超えれば優良の部類に入ると言われる。この収益体質のぜい弱さは以前から指摘されてきたが、激しい価格競争環境下で、それはほとんど改善されることはなかった。

 低価格という利益の薄い販売方法で利益を出すには、それに準じた売上の増加が不可欠になる。言い換えれば、「多くの売上を生み出すために低価格で販売する」ということでもある。この関係は表裏一体であり、低価格で販売したにもかかわらず、売上が上がらないとなると、事業として成立しない。

<急激な坪効率の低下が採算性の悪化に>

supermarket 低価格の条件は、安い仕入れ価格と低い販売管理費であるのは言うまでもないが、実はそれにもまして重要なのが「高い坪当たり売上」という部分である。小売業はその経費のほとんどが固定費であるために、単位面積当たりの売上の多寡がそのまま利益に反映するという特性がある。

 景気停滞と人口のピークアウト、さらに高齢・少子化により市場の拡大がほぼ停止したなか、拡がり続けた売場面積は、販売による利益を確保できないという現実を各企業に突き付けている。平たく言うと「商品の売買利益だけでは販売管理費を賄えない」ということである。
 大手GMS(総合スーパー)が商品販売の利益で販売管理費がまかなえなくなったのは、バブル崩壊後、間もなく始まった急激な販売効率の低下によるものだが、不況に強いと言われたスーパーマーケットも、リーマン・ショック前後からの消費市場の停滞と売場の増加による効率低下が発生し、GMSと同じような経営体質へと変化した。

 今や、大手小売業のほとんどがテナント賃貸料や金融といった販売以外の利益で収支を合わせることが普通になっている。しかし、その方法を選択できる企業はまだ良い。それができない小規模小売チェーンは、商品販売利益だけで経費を賄わなければならないということである。当然、収支実情は極めて深刻な状況になる。

(つづく)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。現在は、流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を務める。

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