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幕を切った九州流通再編(3)

2014年10月8日07:03

<1兆円連合目指すイズミ>

youme_town イズミは7月中旬、熊本県で「エース」の店名でSM(食品スーパー)4店を展開する広栄を買収した。同社は1976年設立で、最盛期には年100億円近くを売り上げ、県内では寿屋、ニコニコ堂に次ぐ規模を誇った。近年はジリ貧で店舗は4店に縮小、売上は40億円に落ち込んでいた。創業者の2代目が跡を継いでいたが、2012、13年6月期と営業赤字が続き、自主再建を断念している。

 イズミは買収した旧ゆうあいマート(現・(株)ゆめマート)を、小型の老朽店舗を大型の新店に置き換えていくスクラップ&ビルドで、13年2月期は年商140億円、経常利益4億円を上げる県内切っての高収益SMに生まれ変わらせた。広栄にも同様の手法を採用すると見られる。

 ゆめマート、旧西紅、広栄の系列SM3社の合計年商は約230億円。これに昨年から出店を始めた直営のSM4店と大型商業施設「ゆめタウン」5店を合わせると、県内の小売りシェアは最大になる。熊本県は寿屋、ニコニコ堂の破綻後、中堅中小スーパーが群雄割拠し、リーディング・カンパニー不在の戦国時代が続いていたが、県外のイズミがその座を獲得した形だ。

 イズミは売上高1兆円構想を掲げる。その実現に向け、直営の大型商業施設やSMを出店するのと並行して地方スーパーをM&A(合併・買収)や資本・業務提携でグループ化、自らはその盟主に収まるという構想を描く
 “1兆円連合”の形態はさまざまだ。ゆめマートや広栄のような完全子会社もあれば、出資比率が20%に満たないスーパー大栄の例もある。

 スーパー大栄はイズミの支援で店舗改装に着手、第一弾の行橋店は改装後、客数が3~4倍に増える成果を上げている。8月末までに5店を改装、さらに10月末までに5店を実施する。改装の柱である惣菜売場はイズミが従業員教育と運営を指導している。仕入れ面では、ベンダーに取引を維持する条件としてイズミの納品価格に合わせるよう要請、この効果で第1四半期(4~6月期)決算は減収にもかかわらず売上総利益が増加した。
 改装店舗を対象に「ゆめカード」の導入も進めている。イズミの店舗とポイントを共通して使えるようにする。出資比率以上に関係が深まっている。

 05年丸久、08年マルミヤストアと締結した資本・業務提携は少額出資で「友好関係」の域を出ないが、両社にとってはいざというとき頼りになる存在だ。イズミにとっては少なくとも両社がイオンの傘の下に入る心配はない。特定オーナーのいない丸久にとっては持ち株比率(4.21%)第4位の安定株主で、外部からの株の買い占めが起きた場合には“同盟軍”になる。マルミヤストアは当初の出資比率4.7%から2.76%に低下(株主順位は4位で変わらない)しているが、イズミを通じて日本流通産業(ニチリュウ)から低価格のPB(プライベートブランド)を調達できるようになり、実利につながっている。両社とも今後の状況次第で、イズミとの関係が発展する可能性がないとは言えない。

(つづく)

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